よく聞くけどわからない 歯槽膿漏とは?歯周病との違いと併せて解説!

歯槽膿漏とは

歯槽膿漏とは、歯周病が進行して重度に達した状態を指し、歯ぐきから膿が出るのが特徴です。
歯周病は歯と歯ぐきの境目から細菌が侵入し、炎症(歯肉炎)を引き起こし、さらに進行すると歯を支える骨や靱帯(歯槽骨)が破壊されます。
歯ぐきの腫れ、出血、口臭、歯の動揺などが現れ、最終的には歯を失うこともあります。
進行が進むほど治療は難しくなるため、早期発見と治療が重要です。

歯槽膿漏と歯周病の違い

歯周病と歯槽膿漏は、病気としては同じものです。
「歯周病」とは、歯を支える歯ぐきや骨に影響を与える病気の総称になります。
初期の歯周病は「歯肉炎」と呼ばれ、歯ぐきが赤く腫れることが特徴です。
一方「歯槽膿漏」はその歯周病の中の最も進行した歯ぐきから膿が出てるなどの状態を指します。

歯槽膿漏とは

軽度:歯周ポケットの深さ3~5mm
中度:歯周ポケットの深さ4~7mm
高度:歯周ポケットの深さ6mm以上

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歯周病の進行と歯槽膿漏

歯肉炎

歯肉炎は歯周病の初期段階で、炎症が歯ぐきのみに限定された状態です。
主な症状として、歯ぐきの赤みや腫れ、歯磨き時の出血が見られます。
また、歯肉溝が深くなることもあります。
痛みがほとんどないため気づきにくく、放置すると歯周炎に進行する可能性があります。
適切なケアで回復可能な段階です。

歯周炎

歯周炎は、歯肉炎が進行し、炎症が歯ぐきだけでなく歯根膜や歯槽骨などの歯周組織にまで広がった状態です。
軽度、中等度、重度に分類され、症状としては歯ぐきの腫れ、出血、口臭などが見られます。
進行すると歯を支える骨が破壊され、歯周ポケットが深くなります。
進行速度は通常ゆるやかですが、短期間で急激に進行することもあります。

歯槽膿漏

歯槽膿漏は、歯周病が重度に進行した状態です。
歯ぐきからの出血や膿の排出が特徴で、炎症が歯を支える骨にまで及んでいます。
症状には口臭の悪化、歯のぐらつき、歯ぐきの後退などがあります。
自覚症状が現れる頃には既に進行していることが多く、早期発見が難しい深刻な状態です。
適切な治療を受けないと、最終的に歯の失う可能性があります。

歯槽膿漏の兆候や症状

歯ぐきが腫れ・出血

歯ぐきが腫れ・出血

歯槽膿漏の初期段階では、歯ぐきが腫れたり、歯磨き中に血が出ることがあります。
これらは歯周病のサインで、歯周病菌が歯ぐきに炎症を引き起こしているのが原因です。
もし歯ブラシで軽く磨いただけでも出血する場合は、早めに歯科医に相談しましょう。

歯ぐきから膿が出る

歯ぐきから膿が出る

歯槽膿漏の典型的な症状として、歯ぐきからの膿の排出があります。
初期段階では歯ぐきから出血が見られますが、中度から重度に進行すると膿が出るようになります。
これは歯周ポケットの奥で細菌感染が進み、膿が溜まるためです。
膿の排出は不快なだけでなく、口臭の原因にもなります。

口臭

口臭

歯槽膿漏が悪化すると、強い口臭を感じることがあります。
これは、歯周ポケットの奥深くで歯周病菌が増殖し、硫化水素などの臭い成分を発生させるためです。
歯槽膿漏による口臭は、通常の口臭と違い、歯みがきやマウスウォッシュでは改善しにくいのが特徴です。

歯のぐらつき

歯のぐらつき

歯槽膿漏の典型的な症状として、歯のぐらつきがあります。
健康な状態では、歯根膜のクッション効果により、わずかな動き(生理的動揺)が見られます。
しかし、歯槽膿漏が進行すると歯周組織が破壊され、歯槽骨が細菌により溶かされます。
その結果歯を支える土台が不安定になり、歯が大きぐらつく病的動揺が起こることで、歯並びにも影響を与える可能性があります。

歯槽膿漏の原因

プラーク

プラーク

プラークと呼ばれる歯の表面にたまる細菌のかたまりが歯槽膿漏の原因の1つになります。
この細菌は、食べ物のカスや唾液に含まれる糖分をエサにして増加します。
プラークをそのままにしておくと、次第に固まって歯石になります。
歯石はとても硬く、歯ブラシでは取り除けません。
この歯石が歯周病菌のすみかとなり、やがて歯槽膿漏の原因に繋がるのです。

生活習慣

プラーク

歯槽膿漏の進行には、生活習慣が大きく影響します。
不適切な歯磨き習慣、喫煙、ストレス、糖尿病などが発症リスクを高めます。
また、だらだら食べや柔らかい食事の偏重、就寝前の飲食も悪影響を及ぼすのです。
喫煙は歯ぐきを弱め、ヤニが歯に付着して細菌の繁殖を促進します。
ストレスは唾液分泌を減少させ、歯ぎしりを引き起こす可能性があります。
適切な口腔ケアと健康的な生活習慣が予防に重要です。

歯周病(歯槽膿漏)を治すレーザー治療

歯周病(歯槽膿漏)を治すレーザー治療

歯周病治療の目的は、歯周ポケットを改善し、歯周組織が歯の根にしっかりと付着している健康的な状態を取り戻すことです。
しかし歯周ポケットの奥深くの歯垢は、日々の歯磨きなどでは取り除くことができません。
そんな歯周ポケットの奥深くに届くのがレーザー治療です。
レーザーの光と熱は、スケーラー(歯石を除去する道具)では届きにくい歯周ポケットの奥深くや、形が複雑な部分にも作用します。
その結果、従来の治療よりも正確に細菌を除去することが可能です。
さらに、抗菌薬とは異なり、耐性菌が発生するリスクがないのもレーザー治療の大きな利点です。

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歯槽膿漏(歯周病)簡単セルフチェック

朝起きた時に口の中がネバネバしている

歯と歯の間に食べかすが挟まりやすい

人から口臭を指摘されたことがある

歯磨き時に出血しやすい

歯が長くなったように感じる

歯肉が赤い、または黒い

歯槽膿漏にならないための予防法

毎日正しく歯磨きをする

毎日正しく歯磨きをする

歯槽膿漏予防には正しい歯磨き習慣が重要です。
歯ブラシは歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、軽い力で小刻みに動かしましょう。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することでより効果的に歯垢を除去できます。
食後に歯磨きができない場合は、うがいだけでも効果があります。
正しい歯磨き方法を身につけ、毎日実践することが歯槽膿漏予防の鍵となります。

定期的な歯科健診

定期的な歯科検診

歯槽膿漏を予防するためには、3~6か月に一度の定期的な歯科検診が重要です。
専門家による歯石除去や口腔内チェックを受けることで、歯周病の早期発見・治療が可能となり、重症化を防げます。
自覚症状がなくても定期的に検診を受けることで、口腔内を清潔に保ち、長期的な健康維持につながります。

歯周病(歯槽膿漏)のよくある質問

Q 歯槽膿漏は歯磨きで治りますか?

A 一般的に歯槽膿漏は歯磨きだけで治すことは難しいと言われています。歯周病の初期段階であれば、正しい歯磨き習慣や歯垢の除去を徹底することで症状の進行を防ぐことは可能ですが、進行した状態である歯槽膿漏は専門的な治療が必要なケースがほとんどです。


Q 歯槽膿漏の痛みはどんな痛みですか?

A 歯槽膿漏は初期段階では痛みがほとんどありませんが、進行すると歯ぐきが腫れて冷たい水がしみるようになり、さらに悪化すると膿がたまって強い痛みを伴うため、早期発見と定期的な検診が重要です。
しかし、再発防止のためには定期的なメンテナンスが必要です。当院では健康的な口腔環境を維持するためにも、メンテナンスにも力を入れております。


Q 歯槽膿漏はうつりますか?

A 家族やパートナーとの飲食物の共有や、キスなどで唾液を介して菌が移る可能性があります。ただし、歯周病菌が移っても、必ずしも歯槽膿漏が発症するわけではなく、発症には個人の免疫力や口腔ケアの状況が大きく関係します。

ウケデンタルオフィス
総院長 兼 神谷町本院 院長

宇毛 玲(うけ あきら)

当院では、自由診療(自費診療)のみに限定し、精密な検査、十分なご説明、そして幅広い治療法を行うことにより、最善の治療を提供できる環境を整えております。もちろん、技術力の研鑽にも力を注いでいます。

一時的に治すだけの歯科治療では満足できない方、一生モノの健康な歯を手に入れたい方、症状が重度で治療を断られてしまった方、ぜひウケデンタルオフィスへご相談ください。

経歴

1993年 明海大学歯学部 卒業
1994年 山の手歯科医院 院長
2000年 東京八重洲クリニック 院長
2005年 ウケデンタルオフィス 開院

所属学科

日本臨床歯科学会認定医
東京SJCD会員
SJCDベーシックコースインストラクター
日本臨床歯周病学会会員
ロカワンクラブメンバー(2024年)


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