成人の80%がかかっているという 歯周病とは?
歯周病のメカニズム

歯周病とはプラーク(歯垢)の中の歯周病菌によって歯を支える歯茎(歯肉)や骨などの歯周組織に炎症が起きてしまい、破壊されていく病気です。骨は感染に弱い組織なので生体が防御反応として自分自身で自分の骨を溶かしてしまいます。進行が進むと最終的には歯を支える骨がなくなってしまい、歯が抜け落ちてしまいます。
日本の成人の約8割の人が歯周病を患っているといわれていますが、初期段階では痛みなどの自覚症状が少ないため、気づいた時にはすでに重症になっていることが多いです。また、歯を失う一番の原因は虫歯ではなく、歯周病だとも言われています。
歯周病は感染症

歯周病は感染症でうつる病気です。口移しの食事や食器類の共有をすることで細菌が、家族内や恋人同士で接触感染してしまいます。
そもそも歯周病菌は多かれ少なかれどんな人でも口腔内にも存在しています。
治療によって歯周病菌を全滅させることは可能ですが、治療終了後、約3か月経つとすでに元の細菌数の30%が戻ってきてしまいます。
歯周病と全身疾患の関連性

歯周病は最終的には歯が抜ける恐ろしい病気ですが、歯周病のもたらす影響はお口の中のみにとどまりません。歯周病の細菌が血管を通り全身に回り、全身の組織や臓器へ影響を与えていることが研究でわかりました。糖尿病、心疾患、早期低体重児出産、誤嚥性肺炎、骨粗鬆症、癌などと関連しています。
中でも歯周病との関連が深い疾患が糖尿病です。糖尿病は合併症が怖い病気で、高血糖状態が続くと身体の抵抗力が下がり細菌に感染しやすくなります。歯周病は歯周組織がプラークに侵される病気なので、糖尿病になると歯周病になりやすく、なった後も治りにくいという特徴があります。
また、糖尿病が歯周病を悪化させるだけでなく、歯周病が糖尿病を悪化させる原因であると考えられています。歯周病が原因で歯茎の中では炎症性の物質が作り出されます。この物質が血液を通してインスリンとい血糖値をコントロールするホルモンの働きを妨げてしまい、糖尿病を悪化させてしまいます。
あなたの歯周病の進行度は?
- 歯周ポケット:4~5mm
歯肉の赤み
歯茎の腫れ
歯茎からの出血
- 歯周ポケット:4~6mm
歯がグラグラする
歯茎が下がり、歯根露出が始まる
口臭や歯肉のかゆみがある
唾液がネバつく
抜かずに治療できる範囲
- 歯周ポケット:6mm以上
硬いものを噛むことができない
歯肉が大幅に退縮している
排膿(膿が出る)
自然出血する頻度が増える
抜歯後、インプラント義歯となることがある範囲