なぜ抜歯が必要とされるのか 重度歯周病治療と「抜歯」の関係

重度歯周病とは

歯周病は、口腔内の細菌感染により引き起こされる炎症性疾患です。
歯肉や歯を支える骨が徐々に破壊され、進行すると歯がぐらつき、最終的には抜け落ちる可能性があります。
初期段階では症状が現れにくいため、定期的な歯科検診が重要です。


歯周病の症状


軽度歯周病

見た目 顎の骨が溶け始め、歯茎が腫れる
日常への支障 歯を磨くと出血する
進行具合 歯槽骨や歯根膜も破壊され始める

中度歯周病

見た目 歯ぐきの腫れや出血、歯がぐらつきはじめる
日常への支障 冷たい物を食べると歯がしみる
進行具合 歯槽骨も半分近くまで破壊が進む

重度歯周病

見た目 歯がぐらぐらになる
日常への支障 食べ物が噛みづらい
進行具合 歯根の露出や膿の排出される

歯周病で手遅れな症状

  • ・噛むときに痛みがある
  • ・噛むと歯が動く
  • ・歯茎から膿が出る
  • ・口臭がきつくなる
  • ・歯並びが悪くなる

ここまで症状が悪化すると歯を残すことは難しく、手遅れといえるでしょう。
抜歯が必要になります。
歯が自然と抜け落ちる可能性もあるので、すぐに歯科医院にて診てもらいましょう。

抜歯をすれば歯周病は治る?

抜歯をすれば歯周病は治る?

ご自身の歯を抜く、というのは患者様にとって非常に難しい決断であると思います。
ただ注意が必要なのは、重度の歯周病が原因で歯を抜いたからといって、抜歯によってお口の中の歯周病が治るわけではないという点です。
歯周病はお口全体の病気ですから、抜歯をする場合でも歯周病治療は必要です。

歯周病で抜歯が必要になる理由

軽度の症状であったり、歯を抜く、抜かないにかかわらず、歯周病治療は不可欠です。
それならば、出来得る限り歯を抜きたくない、自分の歯を残したいと考える方が多いでしょう。

しかし、なぜ抜歯という処置がとられるのか、重度の歯周病において、抜歯が必要とされる理由について説明します。


重度歯周病を放置すると、歯を支える骨(歯槽骨)が吸収してしまう

歯を支える骨(歯槽骨)の吸収

歯肉炎が進行すると、歯と歯ぐきの隙間である歯周ポケットが深くなり、歯ぐきが少しずつ歯から離れていきます。
この深くなった歯周ポケットの中で細菌が繁殖、さらに奥深くへ侵入し歯を支える骨(歯槽骨)に到達すると、歯槽骨の吸収が始まります。
このように、歯ぐきの炎症だけでなく歯周組織の破壊が生じる段階になったものを歯周炎といいます。

骨の吸収は、破骨細胞という細胞の働きが関係しています。歯槽骨の吸収も、この破骨細胞が活性化することで起こります。

歯肉の炎症が進むと発生する伝達物質や、歯周病の原因である細菌の成分によって、破骨細胞が活性化します。

また、歯を支える歯槽骨が失われると、歯がぐらぐら揺れて噛み合わせが悪くなります。
そうすると噛む力が一部に集中し、歯周組織を傷つけてしまうことがあります。
このことがさらに破骨細胞を活性化させ、歯槽骨の吸収を推し進めてしまうのです。


最終手段としての抜歯

最終手段としての抜歯

重度の歯周病を放置すれば、歯を支える顎の骨も失われます。

問題のある歯だけでなく、その周囲の歯を支える骨にまで影響を与えてしまう可能性があるということです。
つまり抜歯とは、歯を残すか、それともその周囲の骨を残すかという選択なのです。

骨が失われれば、そのままではインプラントや義歯という処置も難しくなります。
特に、保険適用の範囲内で治療を行おうとするならば、抜歯を選択することが多くなるでしょう。

抜歯後の治療法


入れ歯

メリット

  • ・保険適用可能で、比較的安価
  • ・治療期間が1~3ヶ月程度と短い
  • ・3本以上の歯の欠損にも対応でき幅広く適応できる
  • ・取り外し可能で、清掃が容易
  • ・口腔内の変化に対応しやすい

デメリット

  • ・毎日の取り外しと清掃が必要
  • ・部分入れ歯の場合、支えとなる歯に負担がかかる
  • ・自然歯に比べて噛む力が下がるため、咀嚼力が弱くなる可能性がある
  • ・金属製の留め具が目立つ場合がある
  • ・装着初期には強い違和感を感じやすい
  • ・使用中に位置がずれたり外れたりすることがある

ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削り連結させた人工歯をはめる固定式の治療法です。

メリット

  • ・固定式のため自然な感覚で噛むことができ、違和感が少ない
  • ・2〜3回と少ない回数で治療で完了可能
  • ・保険適用可能で、比較的費用を抑えられる
  • ・インプラントと異なり、手術の必要がない

デメリット

  • ・支えとなる両隣の歯を削る必要がある
  • ・支えている歯に失った歯の分の力もかかるので歯の寿命が縮む
  • ・固定式のため、清掃が困難で不衛生になりやすい
  • ・顎の骨への刺激が減少し、骨がやせる可能性がある

インプラント

インプラントは、失った歯の機能を回復させるために人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。

メリット

  • ・天然歯に近い構造で、違和感が少ない
  • ・健康な歯を削る必要がなく、周囲の歯への負担が軽減される
  • ・顎の骨にしっかりと固定されるため、自分の歯に近い感覚で噛める
  • ・適切なケアで長期間使用が可能

デメリット

  • ・保険適用外で、1本あたり30万〜40万円程度と高額
  • ・外科手術が必要
  • ・治療期間が通常6ヶ月〜1年程度もかかる
  • ・手術後に一時的な不快感を伴う可能性がある

歯周病にならないために

セルフケアの重要性

セルフケアでのプラークコントロールが重要

歯周病は、一度治療が終了しても約3ヶ月で30%の細菌が口内に戻ってきます。そのため、継続的な定期メンテナンスはもちろん、患者様自身でのブラッシング(セルフケア)が重要になってきます。

歯を抜かない治療とは、抜かずに放置するということではありません。クリニックでの治療や歯石除去はもちろんですが、適切なプラークコントロールも不可欠です。

当院ではブラッシングの指導も行っております。適切なブラッシングを身に着ければ、再発を防ぐことはもちろん、治療中であれば治癒を早めることにもつながります。


可能な限り抜かずに治す当院の重度歯周病治療

健康的な口内環境を目指す重度歯周病治療プログラム

健康的な口内環境を目指す重度歯周病治療プログラム

当院の歯周病治療プログラムは、歯科医療の技術を駆使して、重度の歯周病であっても出来る限り抜歯を避けて治療することを目的としています。
CTによる正確な診断、治療効果に期待が持てるレーザーによる歯周病治療、そして審美性にも配慮する姿勢と技術によって、可能な限り歯を抜かない治療は成り立っています。
他院で抜歯を宣告されたケースであっても、数ある歯科医療技術を駆使することで、歯を抜かずに治療できる可能性は大いに残っています。

患者様との信頼関係を大切に

患者様との信頼関係を大切に

重度の歯周病治療ほど、医師が一方的に診断・治療を進めていくという昔ながらの方法では、患者様が満足できる結果は得られないでしょう。

当院では、まずカウンセリングで患者様と治療のゴールを設定、共有します。そして、診断を行って病気の現状を正確にお伝えし、それに対して最善と考えられる方法をご提案します。

治療期間や治療法、リスクや費用などについて説明を十分に行い、カウンセリングで共有した目標と照らし合わせながら、ともに治療に取り組みます。

当院の歯周病治療について詳しくはこちら

ウケデンタルオフィス
総院長 兼 神谷町本院 院長

宇毛 玲(うけ あきら)

当院では、自由診療(自費診療)のみに限定し、精密な検査、十分なご説明、そして幅広い治療法を行うことにより、最善の治療を提供できる環境を整えております。もちろん、技術力の研鑽にも力を注いでいます。

一時的に治すだけの歯科治療では満足できない方、一生モノの健康な歯を手に入れたい方、症状が重度で治療を断られてしまった方、ぜひウケデンタルオフィスへご相談ください。

経歴

1993年 明海大学歯学部 卒業
1994年 山の手歯科医院 院長
2000年 東京八重洲クリニック 院長
2005年 ウケデンタルオフィス 開院

所属学科

日本臨床歯科学会認定医
東京SJCD会員
SJCDベーシックコースインストラクター
日本臨床歯周病学会会員
ロカワンクラブメンバー(2024年)


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